普段は関東で生活されている家族が、セカンドハウスの地として選んだのが山梨県の別荘地。大型犬を飼われていてノーリードで家族と過ごせる時間を手に入れるべく計画がスタートした。住居に求めたものメインの住まいは関東にあるため、定住は目的としない。1番の目的は愛犬とどうすれば最高の時間を過ごせるか。そのため一般住宅や別荘に比べて、何もかもをコンパクトに設計し、コストを抑え無駄を省いた家にしたかった。そんな思いの中オーナーが出した答えが「ガレージに住宅機能を少しだけ持たせる」という発想だ。
BlackPepperとの出会い
私たちBlackPepperは主に在来工法によるModern注文住宅を主軸としている。しかし起業当初は軽井沢の別荘建築でログハウスやツーバイフォー工法の建築にも携わっていた経緯もあり、木造トラスを活用したアメリカンガレージの設計施工にも携わっている。BlackPepperとは別路線の建築ということもあり、2016年にはMaster’s Garageというブランドを立ち上げ販売をしている。
そんなおり「Master’s Garageを住宅にできますか?」という問い合わせをいただいた。
それが今回のプロジェクトの始まりだ。Master’s Garageでは名前の通り、主に自動車を入れる車庫として購入される方がほとんどで、住宅用としての販売は初めてであった。他のガレージ会社であれば断られてしまう内容だったかもしれないが、私たちの主軸が住宅であったこともあり障害は感じなかった。
BlackPepperとMaster’s Garageの初めてのコラボ
同社が運営するブランドではあるが、コンセプトや用途が全く異なるため、お互いの良さをどう活かすかが重要となった。建物自体はセミスタンダードプロダクトという特性から、Master’s Garageの特徴を崩さないことを前提としていたが、内装にはModern要素の含んだ構成でデザインを施した。ミニマムな計画であったため当初想像していたよりもグレードの違いによるギャップが出にくく、想像以上の相性の良さを魅せた。
機能と提案
住居部分の床面積はそれほど大きくはない55㎡程だが、その大部分をLDKとし大開口の窓が、OUT・INを繋げる役目を果たしている。ガレージの特徴でもある床は、コンクリート土間打ちっぱなしを採用し、愛犬は外と中を自由に出入り可能。このサイズでも3ベッドが造作で設置され、他にもトイレ・シャワー・洗濯機も同じ所用室に完備されている。 寝室とLDKは配置的には別空間と感じられるよう配慮されているが、扉などでは仕切られていない。
オーナーが当初から希望していた薪ストーブは、仕切りのない部屋全体を温め、建物の軒が延長されたスペースには雨が降っていても体を濡らすことなく薪をとりにいける。
家族だけで週末を過ごすには十分な機能とロケーションで管理もしやすい。別荘まで大袈裟なものではない「セカンドハウス」という新しいライフスタイルの可能性を見出した。
仕様
【外装仕上げ】
【内装仕上げ】